
アカシアの蜂蜜というと、スッキリとした味わいで食べやすく人気のある蜂蜜。コクのある蜂蜜が苦手な人でも抵抗なく楽しめます。
そんなアカシア蜂蜜は「ニセアカシア」の花の蜜であることを知らない人も多いんです。本来の「アカシア」とは、まったくの別物で蜂蜜がとれるのは実はニセアカシア。
- 名前に「ニセ」がついている
- 毒性がある
- 生態系被害防止外来種リストに指定されている
なにも知らないとニセアカシアは怪しいのではないか!?と心配しちゃいそうですよね。
ここではアカシアとニセアカシアを比較し、安心して美味しい蜂蜜を楽しめるようにミツバチが大好きな「ニセアカシア」についてまとめました。
【ニセアカシアの毒性】3つの注意点
ニセアカシアには毒性成分が含まれている、と聞いてビックリした方もいるかもしれません。
「花、食べちゃった・・・」
「ハチミツ好きだったのに・・・」
「レシピサイトにたくさん載っているのに?」
毒性がないのは、花の部分のみ。そのほかは食べないようにしましょう!
ニセアカシアの花を天ぷらで食べると美味しいようです。食べてみたい・・・
- 花を天ぷらに
- 蜜をはちみつに
- 花をアカシア酒に
クックパッドなどのレシピサイトを見ると多くのニセアカシアの花のレシピが紹介されています。
このように食用向きかと思われますが、毒が含まれているため食用には向かないので注意が必要!花以外の部位には、毒があるので取扱い注意なのです。
注意点1. 「樹皮」
とてもゴツゴツとした樹皮。樹皮を食べた馬が中毒症状を起こした事例があります。馬以外の家畜の中毒事例は見当たらず、ほかの家畜ではエサとして利用しています。
馬が食べたら必ず中毒を起こすわけではなく、野生植物を食べることは細心の注意を払うべき一例です。
子供が樹皮を噛んで中毒になったという事例もあります。ゴツゴツした樹皮はなかなか噛むこともないと思いますが、子供や犬・猫などの動物が噛んでしまったということのないように身近にあるニセアカシアの樹木は知っておくといいですね。
注意点2. 「葉」
人間に中毒症状が出た報告によると、中国で飢饉(ききん)のときに、葉を食べて中毒になったという事例もあります。
注意点3. 「果実」

毒性成分が花以外に含まれているので食べないように注意しましょう。
このように、花は天ぷらなどの料理、ミツバチによる蜂蜜を美味しく食べれても、すべての部位を食べれるとは限りません。
ハリのようなトゲにも注意!
枝のところどころにトゲがあり、触ったときにケガをしやすいので注意が必要です。
エンジュ(槐)に似た木で、自転車のタイヤをパンクさせてしまうほどのトガったハリをもつため、「ハリエンジュ」(針槐)と呼ばれます。
アカシアとニセアカシアの違いとは
まず最初に目に飛び込んでくる違いは、花の色や形ですね。まったく似ていないのに、なぜ名前が似ているのでしょうか。
ニセアカシアの名前の由来
明治6年(1873年)最初に日本に輸入された樹木はニセアカシアでした。ニセアカシアを単に「アカシア」と読んでしまったのが、そもそもの始まりです。
その後、本来のアカシアが輸入され、ニセアカシアと区別するために最初に輸入されたものに「ニセ(偽)」がついたと言われています。
学名のpseudoacacia(「pseudo=よく似た acacia=アカシア」)をラテン語から直訳し、そのまま名前となったわけです。
ただ、「ニセ」というと偽物なのではないか!?と勘違いするような名前となってしまいました。蜂蜜に「ニセアカシアの蜜」と表記されていたら、蜂蜜がニセモノなのか!?と疑ってしまいますよね。
ニセアカシアは街路樹、公園の植木として広く用いられ、街中に多く植えられているなじみのある植物です。そのため、怪しい植物というわけではありません。
アカシアとニセアカシアの比較表
アカシア | ニセアカシア | |
---|---|---|
科・属 | マメ科・アカシア属 | マメ科・ハリエンジュ属 |
別名 | ・ギンヨウアカシア ・フサアカシア ・ミモザ(※) | ハリエンジュ |
花の色 | 黄色 | 白色 |
花の開花時期 | 2~4月 冬から春 | 5~6月 春から初夏 |
原産 | ・アフリカ ・オーストラリア | 北アメリカ |
トゲ | トゲなし | トゲあり (葉の付け根に) |
(※)アカシアの別名:ミモザとも言われるが、「ミモザ」は本来、「オジギソウ」を指す。
ミモザといったら、黄色い花のイメージが強いですが、本来では違います。
ニセアカシアは悪い影響を与える「外来種リスト」に指定

ニセアカシアは日本の侵略的外来種ワースト100、生態系被害防止外来種リストに選定されています。
→「日本の侵略的外来種ワースト100」とは、日本生態学会が定めたリストで、とくに生態系や人間活動への多大な影響を与える外来種を選定したものです。
→「生態系被害防止外来種リスト」とは、環境省が指定していた特定外来生物には選定されていないが侵略性が高く、幅広く生態系や人の生命などに被害を及ぼすおそれのある外来種を選定したものです。

やせた土地や砂地などの荒れ果てた土地でも自生でき、繁殖力が旺盛なため、あっという間にニセアカシアの樹木は広がり、野生化しています。
明治時代、多用途樹木として輸入した当初は庭木・街路樹・砂防林などとして導入されましたが、河川敷等に生育する在来種(アカマツやクロマツのマツ林、ヤナギ林など)の減少など影響を及ぼしています。
【まとめ】ニセアカシアを知ろう

アカシアとニセアカシアの大きな特徴の違いは、花の見た目と開花時期です。
ニセアカシアの名前に「偽」がついていたり、 悪い影響を与える「外来種リスト」 に登録されていたり、毒性があるニセアカシアは怪しいのかな、と避けそうになります。
しかし、優れた蜜源植物であり、長野産の8割がニセアカシアの蜂蜜のため養蜂業者は支持しています。
さまざまな特徴や蜜源植物の名前に「ニセ」がついていることで心配になりそうな植物。しかし、代表的なアカシア蜂蜜は、あやしい蜂蜜ではありません。
アカシア蜂蜜は甘いにおいがして、さっぱり食べられる結晶化しにくい人気のはちみつのひとつです。
アカシア蜂蜜の蜜源植物がとても身近に植えてあります。毒性のある植物が身近にあるので取扱い注意ですが、公園や街路樹に植えられているニセアカシアを探してみてはいかがでしょうか。
そこにミツバチが飛んできて蜜を集めていたら、ホッコリしますね。