益虫の代表格、カイコの不思議。
\ぐんま昆虫の森のカイコの「眠」ツイートからリサーチ!/
カイコの幼虫がクワを食べるのをやめて動かなくなる状態を「眠」といいます。
「みん」と読みますが、寝ているわけではありません。
どうしたのかな、何をしているのかなと、いじり回すと脱皮不良になってしまいます。
脱皮に失敗して死んでしまうこともあるので触らずに見守りましょう!
この、「眠」の見分け方についてまとめました。
眠の見分け方はカイコの体勢
眠の状態では、上半身を上げて動きが止まります。
動きは止まりますが、体内では活発に代謝をしています。休眠とは関係がありません。
上半身を上げて、ジッと動いていなければ、「眠」の状態ですね。
カイコは4回の眠を行う
カイコの幼虫は、クワを食べて繭(まゆ)を作る益虫。
しかし、クワの葉を食べなくなり動かなくなることが4回あります。
これが、「眠」ですね。
それは、脱皮の準備をするため。
脱皮の半日前くらいからクワを食べるのをやめ、「眠」の状態に。
幼虫は約1ヶ月の間、クワを食べて脱皮を繰り返します。
普通、4回の眠を行い、1回の眠は約24時間続きます。
遺伝や環境条件に左右され、眠が3回または5回のことも。繰り返し脱皮をして、大きく成長していきます。
幼虫の成長過程
幼虫の過程を「齢」(れい)で表し、1齢から5齢まで成長していきます。
とにかく食べるカイコの幼虫
- 1齢時期:約3日
からだは黒色で全身に毛が生えている
1眠 約1日動かなくなり、脱皮の準備→脱皮
- 2齢時期:約3日
脱皮後、黒っぽい感じのカイコになる
2眠 約1日動かなくなり、脱皮の準備→脱皮
- 3齢時期:約3日
3齢になると頭のかたちがはっきりしてくる
からだの色は徐々に白くなってくる
3眠 約1日動かなくなり、脱皮の準備→脱皮
- 4齢時期:約4日~6日
4齢になると体長も長くなり、食欲も旺盛
4眠 約1日~1.5日動かなくなり、脱皮の準備→脱皮
- 5齢
(終齢)時期:約8日5齢になって3日目くらいになると、さらにエサの量が増える
モリモリとたくさん食べ、太ってくる
↓
熟蚕(じゅくさん)へ
カイコの幼虫が生涯食べるエサの量は約9割を5齢の時期にモリモリ食べます。
熟蚕になるとエサを食べなくなる
5齢になって6~7日くらいからエサを食べる量が減り、糸を吐く準備ができます。からだが黄色く透き通ったようになり、少し小さくなります。
エサを食べなくなる、この時期を「熟蚕」(じゅくさん)と呼びます。
【最後に】成虫カイコガの不思議
カイコは、繭(まゆ)を作ってから10~15日かけて繭の中で【脱皮→サナギ→成虫】に変態します。
サナギのカラをやぶって羽化したカイコガは、口からアルカリ性の酵素を出して繭を溶かし軟らかくして外に出てきます。
カイコガは短い寿命
幼虫を「カイコ」、成虫を「カイコガ」と呼びます。
カイコの成虫は羽があっても退化していて飛べません。成虫は、エサを食べず、羽化後5日前後の寿命です。
参考:蚕(かいこ)の成虫はなぜ何も食べないのですか。-農林水産省-
5日前後の寿命とされていますが調べてみると約1週間~2週間、平均10日間生きるカイコガが多いようです。
実際にうちで育てたカイコガは、10日ほど生きていました。
しかし、オスは交尾後、2~3日で死んでしまいました。必ずしも5日前後とは限りません。
オスよりメスの方が長生きするようですね。交尾後、オスは力尽きてしまいますがメスは最後の仕事、産卵を一生懸命していましたから。
交尾・産卵するだけの成虫
半日くらいで約400~500粒の卵を産みます。
受精した卵は、2日くらいで褐色に変化し、受精しなかった卵は黄色のまま。
産卵を済ませたカイコガは短い一生を終え、次の子孫に託します。
カイコはすばらしい益虫
クワを食べ、絹を作りだす不思議な昆虫。
ほかの昆虫と違い、人の手をかけてあげないと生きていきられない家畜化された珍しい昆虫です。
眠の状態や成虫の姿を飼育観察して思ったのは、ジッとしている期間が長い昆虫だな、と。
そんなカイコをぐんま昆虫の森では見ることができます。
かやぶき民家で飼育されています。
昆虫観察館から遠い位置にありますが、会いに行ってみたくなりますね。
※とても急な山道を歩きます。かやぶき民家まで気合が必要かもしれません。足腰が不調な方は注意が必要です。
> カイコガの婚礼ダンスに衝撃!蚕の飼育講座inぐんま昆虫の森【成虫までを観察】
追記
\ぐんま昆虫の森のカイコに関するSNSをチェック!/
蚕糸技術センターから生まれたてのカイコをもらってきました。
— 群馬県立ぐんま昆虫の森 (@konchuu05) June 18, 2021
かやぶき民家で飼育してますが、皆様に見ていただける26日(土)には3齢幼虫になっているはずです。
一か月も経たないうちに、繭になります。
今日から成長の様子を載せていきますので、楽しみにしてください。#ぐんま昆虫の森#カイコ pic.twitter.com/PbB38yiN8F
カイコが生まれてから、3日目になりました。
— 群馬県立ぐんま昆虫の森 (@konchuu05) June 20, 2021
体の色もだんだん白くなってきました。
明後日には脱皮をして2齢幼虫になる予定です。#ぐんま昆虫の森#カイコ pic.twitter.com/nlZsoaRkao
昨日から「眠(みん)」に入っていたカイコですが、本日脱皮して2齢となりました。
— 群馬県立ぐんま昆虫の森 (@konchuu05) June 22, 2021
まだまだ小さいので、肉眼ではなんだかよくわかりづらいところです。
ちなみに、周りの白い粉は「石灰」で、食べ残しの葉っぱなどを乾燥させるために振りかけています。 pic.twitter.com/SQdYdeC2xD
本日も沢山の方にかやぶき民家へお越しいただき、ありがとうございました。カイコは昨日2回目の脱皮をして、3齢幼虫になりました。
— 群馬県立ぐんま昆虫の森 (@konchuu05) June 26, 2021
7月3日(土)4日(日)に「桑くれ」体験を予定していますが、カイコが「眠」に入るため延期になるかもしれません。実施の詳細についてはHP上でご確認ください。 pic.twitter.com/Hw1xQNXGTd
カイコ飼育担当スタッフが、ふるいを使って白い粉を薄くまいています。かわいそうな気がしますが、実はカイコの消毒をしているのです。白い粉の正体は、消石灰と高度さらし粉を混ぜたものです。
— 群馬県立ぐんま昆虫の森 (@konchuu05) September 8, 2021
カイコは細菌やウイルスに弱く、消石灰を利用した消毒が古くから行われていました。#カイコ pic.twitter.com/yBgwn3osgS
今朝の除沙の様子です。除沙とは、
— 群馬県立ぐんま昆虫の森 (@konchuu05) September 11, 2021
網をかぶせ、その上から新しい桑を与えてカイコを移動させ、蚕糞や食べ残した桑などを取り除き、清潔にする作業の事です。
現在かやぶき民家内の見学は休止中ですが、庭から蚕室の様子を見る事が出来ます。#養蚕 #カイコ #かやぶき民家 pic.twitter.com/75eokkzBAP
上蔟の動画です。上蔟とは、糸を吐きはじめたカイコが繭を作れるように、蔟(まぶし)と呼ばれる部屋に入れてあげることです。現在では労力節約のため回転蔟が普及しています。後で、繭を作っている動画を上げる予定です。ちなみに、カイコが入っているお皿は、木製のカルトンです。#養蚕 #カイコ pic.twitter.com/KxbSXX0ZwF
— 群馬県立ぐんま昆虫の森 (@konchuu05) September 14, 2021
回転まぶしが普及した昭和30年代後半より以前は、わらなどを使ったまぶしが主流でした。このわらまぶしは、昆虫の森の田んぼで育った稲のわらを使用し、スタッフが冬の間に編んで作ったものです。
— 群馬県立ぐんま昆虫の森 (@konchuu05) September 15, 2021
カイコたちは、のけぞるほど頭をあげて、ユラユラと揺れてますが、これは糸を吐く前にする動きです。 pic.twitter.com/Ts67PohjS3
カイコが頭を8の字にふって糸を吐き、藁蔟(わらまぶし)に繭を作っています。まる二昼夜かけて繭を作りますが、わずか0.02mmほどの細い糸を、なんと1km以上も吐いているそうです。#養蚕 #カイコ #かやぶき民家 pic.twitter.com/qU7dkyS9qc
— 群馬県立ぐんま昆虫の森 (@konchuu05) September 18, 2021
カイコが繭から出るシーンの撮影に成功しました。
— 群馬県立ぐんま昆虫の森 (@konchuu05) October 5, 2021
繭が濡れ始めてから、全身が出終わるまで、10分ちょっとかかりましたが、「ガンバレー」と心の中で応援しながら見守っていました。繭から出たばかりの翅は、まだ小さく縮んでいましたが、40分ほどで広がりきりました。#カイコ #かやぶき民家 pic.twitter.com/ezpyzBnlTG
#カイコ の成虫が触角のお手入れをしています。
— 群馬県立ぐんま昆虫の森 (@konchuu05) October 7, 2021
前脚を上手に使っている様子は、まるでハムスターが毛づくろいをしているようですね。
体が白くモフモフしているので、とても可愛らしいです。#グルーミング pic.twitter.com/zyoaLHmomI