子供に「虫と昆虫って同じじゃないの?」って聞かれたら、あなたはなんて答えますか?

- 考えたこともなかった・・・
- 同じじゃないの?
答えは、「虫と昆虫はイコールではない」。同じではないんです。
また、手足のないミミズや蛇(へび)は昆虫以外の「虫」になります。
へびを虫とする理由があります。
ここではシンプルに子供にも分かりやすく、解説♪
「虫と昆虫の違い」をシンプルに

虫と昆虫を同じだと思っている人、また違いがわからない人は多いと思います。
私も「虫と昆虫が同じだ」と思っていた一人。調べて見ると足の本数や体のつくりで虫か昆虫か、分けられているなんて思ってもみませんでした。
「昆虫」とは、3つの条件をクリアした虫
- 体は頭部・胸部・腹部の3つに分かれる
- 足が胸部から6本生えている
- 羽が4枚ある(羽の枚数:アリやハエなどの例外もいる)
足が6本じゃない生き物は、昆虫ではないということです。この3つの条件が揃わないと「昆虫類」としていません。
例えば、体が「頭・腹」の2つからなるクモは、足が8本あるので昆虫ではありません。

昆虫は、エビやカニなどの甲殻類の中の1グループとした節足動物。
主に水中に住むエビなどの甲殻類に昆虫が属するのは、ちょっと驚きです。
【節足動物とは?】
硬い殻で覆われている「外骨格」と「関節」を持つ小動物をいう。
(※人間のように体の中に骨格がある場合=「内骨格」と言う)
同じ節足動物のクモやムカデとは別グループになるのでクモやムカデは「昆虫」にならない んですね。
「昆虫じゃない虫」とは、多種類の虫
一般に「虫」とは、昆虫だけを指すのではありません。
昆虫以外にもダンゴムシやクモなど多くの小動物を含んだ、さまざまな種類を「虫」とまとめて呼びます。虫の中に「昆虫」が属しているので昆虫じゃない虫の方が多いというわけです。

▼「むし」は、以下のもの以外の小動物をまとめて呼びます。
- 人類
- 獣類(全身に毛が生え、4足で歩き、乳で子を育てる動物)
- 鳥類
- 魚貝類
クジラの漢字は「鯨」で「魚へん」を使っています。クジラは魚ではなく人間と同じ哺乳類。人間は「裸虫」と呼ばれることもあるそうです。しかし、虫ではないですよね。
このように、
- 魚という字を使っているから、さかなの仲間
- 虫という字を使っているから、虫の仲間
という考えは間違いですので注意しましょう!
はちゅう類のヘビが虫?

本来は「虫」という漢字は、「へび」をかたどった象形文字(ものの形をかたどって描かれた文字)で毒をもったへび(まむし)を指しています。
「蟲」は、人間含めすべての生き物、生きるものを示していました。広い範囲の生物群「蟲」の略字として「虫」が使われました。
今は、まむしの漢字は「蝮」。へびは「長虫(ながむし)」とも呼ばれ、漢字は「蛇」。
虫という字はもともと「昆虫」を指したものではありません!そのため、漢字に「虫へん」が使われている上に、へびも虫に含まれるんですね。
これは虫?昆虫?

カタツムリやナメクジは陸生巻貝で貝のなかまです。虫に見えますが、虫ではないんですね。
ほかの貝はエラ呼吸しているのに対し、カタツムリやナメクジは肺があり、口とは異なる部分で呼吸をしています。
昆虫じゃない虫はコレ
- クモ
- サソリ
- ミミズ
- ダンゴムシ
- ムカデ
ダンゴムシは足が14本(赤ちゃんは12本)のため、昆虫類になりません。しかも、足の数が多いですがムカデと同じ多足類ではなく、エビやカニなどと同じ甲殻類に属します。
昆虫はコレ

- カブトムシ
- カマキリ
- カナブン
- シロアリ
- 玉虫(タマムシ)
- 蜂
- てんとうむし
- モンシロチョウ
- バッタ
- トンボ
- アリ
- ハエ
ほかにも、もちろん昆虫はたくさんいますが身近な昆虫はこんな感じ。
昆虫じゃない虫の呼び方
昆虫じゃない虫の呼び方は「ただの虫」?
この「ただの虫」という表現は実際にあります。しかし、この「昆虫じゃない虫」とは関係ありません。不利益か、利益かで分けられるので昆虫も虫も「ただの虫」に属します。
虫の中には人間にとって不利益か、利益なのかで分けられる「害虫」と「益虫」に分けられグループがあります。
しかし、どちらにも属さない虫を「ただの虫」と言います。
- 害虫
- 益虫
- ただの虫
昆虫じゃない虫の呼び方は、「飛ばない虫」の方がしっくりきます。
地球上で空を飛んだ最初の動物が「昆虫」。外骨格をもつ動物で空を飛べるのは、昆虫だけです。こうして見てみると、昆虫以外の虫は確かに飛べないのかも・・と気づきます。
しかし、アリなど飛ばない昆虫もいるので「飛べない虫」という方がイメージしやすいかもしれません。
昆虫は食べ物や子をつくる相手を探すために飛ぶ能力をパワーアップさせてきました。
飛び方 | 目的 | 詳細 |
---|---|---|
1.ホバリング (空中で停止して飛ぶ状態) | ・食べ物や子をつくる相手を探す ・求愛行動 | はばたく回数を増やして浮く力をつくる |
2.滑空(かっくう) | ・飛ぶときのエネルギー節約 ・移動 | 上向きに働く力をおさえ、はねの先端がとがったものが向いている |
3.群飛(ぐんぴ) | ・子をつくる相手を探す | 多数で群れて飛ぶ。多くはオスの集団にメスがくる |
4.移住飛翔 | ・すみかの移動 | 自分の飛ぶ能力よりも風速があると飛ばない |
1.ホバリングでは、3パターンの「はねの動かし方」があります。
- 上下に動かすタイプ:カブトムシなど多くの昆虫
- 前後に動かすタイプ:チョウの仲間
- 上下ななめに動かすタイプ:アブ、ハチ、トンボの仲間
4.移住飛翔の中には、アブラムシの仲間、雪虫のように風にのって移動する昆虫もいます。
▼飛ばない昆虫(一例)
- カイコガ
- マイマイカブリ
- ツチハンミョウ
ナナフシは飛ばない昆虫ですが、中には飛べるトビナナフシも存在します。「羽を持ち飛べるナナフシ」と「羽を持たず飛べないナナフシ」の2つに大きく分けられます。
例外もあるかもしれないまだまだ未知の虫の世界。同じ昆虫でも飛べる・飛べない種類があるなど、絶対にこうだ、と言い切るのはまだ難しいですね。
虫か昆虫か迷ったら・・

カマキリのように胸部から足が生えているのか、わかりにくい昆虫もいます。そんなときはひっくり返して裏側から見ると良くわかりますよ。
体は3つに分かれているのか?足が6本なのか?羽が4枚あるのか?など、昆虫の条件をチェック!
ぜひ表面から見るだけでなく、ひっくり返した姿も観察してみましょう!